不登校問題の家庭で起こりやすいドラマ三角形
■ 心理ゲームとは
交流分析を提唱したエリック・バーンは、表面上はもっともらしい説明や言い訳をしていながらも、心の奥では自分でも気づいていない真の動機や目的が隠されているコミュニケーションを行うことを心理的なゲームをしていると定義しました。ゲームは人間関係を行う際のクセであるとされていて、さまざまな種類がありますが、ゲームが行われた後には不快な感情を伴います。
・はい、だけど ・・・ 相手に解決策を求めていながらも、解決策を提案されると、一つ一つに反論して、最終的には相手を無気力な感情にしてしまう
・世話焼き ・・・ お節介な医師が、他の人からの助言を受け入れない患者に対して、医師が患者を治せない無気力感を提言するために患者を責めたい気持ちになってしまう
・キックミー ・・・ 校則違反や失敗を繰り返すことによって、自らをマイナスのストローク(存在価値をディスカウント)を与えられる立場に追い込む
・こうなったのはあなたのせいだ ・・・ 浮気をした男性が、自らの過ちを認めず弁護して、相手に責任を押し付けて罪悪感を抱かせる
・法廷 ・・・ 弾三者を巻き込んで、自分が正しいことを保証させようとする
※ ストロークとは
ストロークとは相手に対する示す言動のことで、相手を褒めるというプラスのストロークと相手を批判するというマナナスのストロークがあります。
■ ドラマ三角形
S.カープマンはゲームが行われる際に人は常に迫害者、犠牲者、救援者の三つの役割を演じて、この役割を入れ替えながらゲームが進行されていくという、ドラマ山間角形という図式を考案しました。不登校の問題を抱えている家庭内では、このドラマ三角形によるゲームが進行されることがよくあります。
・迫害者 ・・・ 話の中で主導権を握っている人。支配的な力を発揮して相手の行動を抑えたり指示する役割を演じている
・犠牲者 ・・・ ドラマ三角形が展開されている中で犠牲者となっていて、迫害者に同意している役割を演じている
・救援者 ・・・ 犠牲者の救援や迫害者を支援したりしながら、仲介する役割を演じている
(例:不登校問題を抱えている家庭で起こりやすいドラマ三角形によるゲームの進行)
父親「ちゃんと学校に行って勉強しないと、ろくな人生をおくれないぞ」(迫害者)
子ども「それはわかってるけど、僕はどうしても学校に行きたくないんだ」(犠牲者)
母親「お父さんの言ってることも一理あるけど、この子(子ども)が学校に行きたくない気持ちも聞いてあげるべきよ」(救援者)
父親「お前(母親)がそうやって甘やかしていることが原因じゃないのか」(迫害者)
母親「それって全部、わたしのせいだっていうの?」(迫害者)
子ども「お母さん、僕はお父さんの言ってることもわかってるつもりだよ」(救援者)
父親「それなら学校に行きたくないのはどうしてなんだ?」(救援者)
子ども「それは、今のお父さんとお母さんにはわからないと思う」(迫害者)
母親「お父さんとお母さんに原因があるの?もしそうだったら詳しく話してほしい」(救援者)
父親「学校に行かないのはお父さんやお母さんに原因があるというのは単なる言い訳だろ」(迫害者)
子ども「言い訳だとか言われるのがわかってるから僕は話したくないんだよ」(犠牲者)
母親「お父さん、そういう言い方をするのはよくないわ」(救援者)
このようなドラマ三角形は延々と繰り返されて、ドラマ三角形を演じていた三者の最終的な結末として全員が不快な感情を伴うことになります。客観的にみると単なる家族内の喧嘩という捉え方ができますが、このようなゲームが行われたとしても、問題解決にはなりません。
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