図と地の心理学

ゲシュタルト心理学の図と地(figure and ground)の心理学では、私たちがある事柄に直面したとき、知覚(認識)の焦点が合わされる図と知覚の焦点から外れて背景になる地とがあります。図と地の境界線が極端に曖昧になると錯視(さくし)などの現象が現れてきます。有名なのは以下の画像にもあるルビンの壺が最も有名でしょう。

ルビンの壺

ルビンの壷は、どこに焦点づけするのかによって壷の図にも見えますし、視点を変えて見ると向かい合っている二人の横顔のようにも見えるという図地反転図形です。他にもロールシャッハテストなどもありますが、この図と地の視点によって人間の心理に深く関係しています。

カウンセリングでは相談者(以下:クライエント)が焦点を向けている部分を図とし、注意を向けていない背景的な要素を地としているのですが、普段はほとんど注意を向けていない地の部分にクライエントの潜在的な長所の可能性や回復能力が潜在していることがあります。ゲシュタルト療法ではこの図と地を柔軟に選択して転換することで、適応的な認知や行動を取り戻していくことになります。つまり、抑圧して目を遠ざけている地(背景)の中から、現在の生きている自分に対する「気づきや洞察」を得ようとさせるのがゲシュタルト療法の基本的な方法論とされています。

クライエントが不快なことや悩み苦しんでいることを図になっているとすれば、精神的に病的な状態になりやすいのですが、楽しいことやリラックスした状態を図に置き換えることでその精神状態が良い方向に変化してくるとされています。また、他者を観察する時に、欠点や短所など悪い面ばかりを図にせず、たとえ苦手な他者であっても、その他者の良いと思える図を見つけ出していくことで対人関係のストレスが低下します。

よくありがちな実例として夫婦関係で「夫が仕事ばかりに集中して家族のことを考えてくれない」という不満を抱いてイライラした気分になっている妻がいるとしましょう。この場合「仕事ばかりに集中して夫が帰ってこないこと」が図になっていて「家族のために一生懸命に働いている」ということが地になっています。そこで図と地を反転させると「夫は家族のために一生懸命に仕事をしている」といった捉え方に変わって夫に対して肯定的な評価を持つことができるのです。

このようにゲシュタルト療法では物事の図と地を反転させることで悲観的な認知や捉え方を肯定的、楽観的なことに変容させることができるわけです。

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