不登校とは、子どもが学校に行かない状態のことで、病気や経済的な理由などで学校にいけないといった理由は含まれません。
不登校になった子どもの中には、学校に行きたくても行けないという葛藤を抱えているケースや学校が嫌いで行きたくないというケースがあります。どちらのケースであっても不登校になった子どもの心情を大切に扱っていくことを心がけておかなければなりません。
そして不登校問題は不登校になっている一番の原因を追究して、その問題を解決させればよいというわけではありません。

不登校の原因について
不登校の原因は両親の離婚や、担任教師との相性問題、生活リズムの乱れ、勉強についていけないなど、さまざまな要因が重なっていることがあります。環境の変化があった場合だと、さまざまな要因を見立てることはできるかもしれませんが、不登校のお子さんの心境を探ってみれば、他にもたくさんの要因が浮かび上がってくることもあります。
また、特に環境の変化がなかったにもかかわらず、心理的な面で複雑な要因が絡み合って不登校になってしまうお子さんもいます。こういった場合、要因を見立てることが非常に難しく、無理強いして心境を探ろうとすると不登校のお子さんが傷ついてしまうこともあります。
不登校の原因にはさまざな要因が重なっていることが多いのですが、大きく分類すると、学校での生活、家庭環境、いじめ問題、発達障害や心の病の四つが考えられます。

学校での生活

学校生活の場面で、勉強についていけなくなった、クラスメイトとのコミュニケーションがうまくいっていない、部活動での人間関係がうまくいってない、担任教師との相性がよくないなどといった要因で学校に行きたくない気持ちになっていることがあります。また、中学三年生ともなれば進路の問題を抱えることになりますが、自分だけ進路が決められずにいることで、周囲から取り残されたような心境になって学校に行きにくくなるということがあります。

家庭環境

家庭環境も不登校に大きな影響を与えていることがあります。親子関係がうまくいっていない、夫婦関係があまりよくないなど、家族システムに問題が生じていると、子どもの心は不安定になり学校に行くことが苦痛になることがあります。家族システムとは「家族を一つの集合体」と捉えることです。つまり、子どもの心が不安定になって不登校になっているのは、家族関係の中で問題が生じていることが要因と考えることができます。
また、両親の離婚や再婚といった家族環境や生活環境の大きな変化によって、子どもがストレスを感じて不登校になることもあります。

いじめ問題

近年、学校の友人や先輩、後輩から誹謗中傷を受けた、無視されている、からかわれている、暴力を受けているなどといったいじめ問題により、お子さんが不登校になってしまうケースも多くみられます。いじめを受けているお子さんの心は深く傷ついて、生きていく力さえ失っていくような状態に陥っている可能性もあります。そういうお子さんの場合、人と会うことに恐怖心を感じていることがあり、簡単にカウンセラーとうまくコミュニケーションが取れないことがあります。ただし、不登校訪問支援カウンセリングを受ける前に、学校に通報したり、学校側や専門相談窓口に相談するなどしながら、先にいじめ問題を解決しておくのがいいでしょう。いじめ問題の解決に関しては不登校訪問支援カウンセリングの専門領域外となります。
また、よくありがちなケースは、いじめ問題を解決させることで、いじめを受けていたお子さんに「もう誰もいじめてくる人はいないから大丈夫」と安心させることで登校復帰を促そうとする保護者の方の動きです。たしかに、不登校の要因となっていたいじめ問題は解決してはいますが、それが必ずしも不登校問題の解決に繋がっているとは言い切れません。なぜなら、いじめを受けていたお子さんには心の傷やいじめによるトラウマ、学校へ行く恐怖心がまだ残っている可能性が高いからです。お子さんが傷ついた心を乗り越えて、自分の力で今後の方向性や目標を決めて、実現に向けて行動していかなければ、不登校問題の解決にはなりません。

発達障害や心の病

発達障害は、対人関係をうまく築くことができなかったり、うまく話すことができずコミュニケーションがうまく取れない、集団生活が苦手で孤立してしまうなどの傾向が見られます。
発達障害は落ち着きがなく、じっとしていられなく動きまわってしまうといったADHD(注意欠陥多動性障害)、対人関係が苦手で一つの物事にこだわり過ぎてしまうなどいったASD(自閉スペクトラム症)、ひらがなを覚えたり計算が異常に苦手だったり、人とうまく話すことに難しさを感じるといったLD(学習障害)などがあり、不登校になりやすい要因となっています。
また、最近では子どものうつ病が目立つようになってきています。子どものうつ病は、イライラしたりだらだらすることが多くなったり、落ち込みやすくなるなどといった症状が見られます。そのような症状の悪化により不登校になってしまうことがあります。