不登校の体験談①
ここでは私が実際に体験したことを語りつつ、現在の私の観点からその事柄に関する意見や見解などを述べていきます。
私が小学校に入学して初めて担任の先生になったのは中年の女性でした。その先生は小学一年生であっても生徒が悪いことをすると、すぐにひっぱたくようなスパルタ的教育を行っていました。私はそのような先生の教育方法がとても嫌に感じていて、余計なことをするとすぐに暴力を振るわれるという恐怖感を抱いていました。
ある日、昔は強制的であったインフルエンザ予防注射の問診票を親が書き忘れていたために白紙の状態で学校に持っていきました。予防接種を行うために一列に並んだ時に、私は問診票が白紙であることに気づいてパニックになりました。それと同時に問診票が白紙であると先生にひっぱたかれるという恐怖心を感じながら怯えていました。そんな心理状態の中、私は自分で問診票を書くことにしました。この段階で本当は私が先生に「問診票を忘れました」と素直に言うべきだったのですが、恐怖心のあまり言えませんでした。先生が問診票を確認すると、私が自分で書いたものだと見つかり、ひっぱたかれたあげく、授業終了後には2時間も立たされることになったのです。
ここで一つの問題となっているのは、私が自分で問診票を書いたことではなく、私が自分で問診票を書こうとした要因です。その要因はごく単純で、その先生に対する恐怖心からの防衛するための行動だったのです。現代で言えば子どもがDV(ドメスティックバイオレンス)から自分の身を守るための防衛行動に近いといえます。残念ながら、その要因については先生から全く追及されませんでした。結局、最後は私が「ごめんなさい」と謝罪したことで問題は解決しました。
その後も担任の先生に対する恐怖心は消えることがなく、小学一年生の二学期を迎えました。詳しい時期の記憶はありませんが、いつの日か、私は先生に対して嘘をつきはじめるようになりました。嘘をつくことはよくないことは理解していましたが、これも私が防衛するための行動でした。ところが、小学一年生の嘘など簡単に見破られてしまいます。私が問題を起こせば先生に嘘をついてしまうようになり、ついに先生はクラスメイトの前で私のことを「嘘つき君」と呼ぶようになり、嘘をつくことは悪いことだと説教され続けていました。さらに先生は「僕は嘘つきです」というタイトルの反省文を書かせて、その反省文を両親に読んでもらった後に署名と印鑑を押してもらってくるようにという課題を出しました。その反省文を母親に見せた時、母親は複雑な表情をしていましたが、私を叱ったりするようなことはしませんでした。
ここで二つの問題が考えられます。一つはクラスメイトの前で「嘘つき君」と呼んだこと、もう一つは私が先生に嘘をついてしまう要因です。先生がクラスメイトの前で私に対して「嘘つき君」などというあだ名をつけて呼んだ時、私は自分の存在自体が否定されているような感覚に陥りました。その時の詳しい心境はよく覚えていませんが、とても辛かったことだけ覚えています。次に私が先生に嘘をついてしまう要因はやはり自分を防衛するための行動です。別の視点から捉えると、私に嘘をつかせているのは先生であり、その先生の教育方針は私に恐怖心を与えて精神的に追い込んでいるとも言えます。
そういった出来事があってからの私は学校に行かなくなって不登校になりました。最初のうちは一週間程度の登校拒否が続きました。ところが、無断欠席事件により、完全に不登校になってしまいました。ある日、私は風邪をひいて学校を休むことになりました。しかし、小学一年生が先生に電話をして「風邪なので休みます」という連絡するわけにもいかず、普通は両親が連絡をします。その時、私の母親は会社勤めをしていたこともあって忙しさのあまり、学校への連絡を忘れていました。母親は家に帰ってきて連絡帳に昨日の欠席の理由とお詫びを書いて、次の日に先生に連絡帳を見せるということになったのですが、次の日に先生に連絡帳を見せると無断欠席したということで私に怒りました。そして二回目の無断欠席が生じたのですが、先生は「前に注意したではありませんか。」ということで私はひっぱたかれました。
ここで問題なのは無断欠席したことに対して生徒を責めたり怒る先生です。まだ小学一年生という小さな子供が欠席するという連絡は親や保護者がするのが一般的です。無断欠席があたかも子どもがした悪いことかのように責めたり怒ったり、ひっぱたいたりする先生の行動に問題があるといっても過言ではありません。これは先生と両親や保護者の方の問題といえます。
そういった要因から、私は学校に行くのも先生と顔を合わせることが嫌になり、一度覚えた仮病を使い学校に行かなくなったのである。これが私の第一次登校拒否、不登校の始まりだったといえます。
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