心理カウンセリングとは
心理カウンセリングとは、心が円滑に働かなくなり病的な状態に陥った人に対して、カウンセラーが心理学的知識と技術を用いて行う専門的支援活動のことです。問題や悩みを抱えた相談者に対して、カウンセラーが相談者の話を傾聴して心のケアを行っていきます。そして相談者が自分のことに気づきを得て自己成長することで自ら解決方法を導き出せるように支援していくのが心理カウンセラーの役割なのです。
次のようなお悩みをお持ちの方に適しています。
お子さんとの関係や夫婦関係がうまくいっていない、お子さんへの接し方がわからない、対人関係に悩みがある、学校生活に悩みを抱えている、子育てに悩みがある、再婚に対して悩みがあるなど・・・
なお、心理カウンセリングは保護者の方だけでなく、お子さんも受けることが可能です。そして心理カウンセリングは以下の2つの方法で実施しています。
■ ご自宅に訪問しての心理カウンセリング
カウンセラーが相談者のご自宅に訪問して心理カウンセリングを行います。相談者の表情や仕草なども注目することができますのでカウンセリングの効果があらわれやすいというメリットがあります。ただし、訪問先までの交通費をご負担していただく必要があります。
■ 電話による心理カウンセリング
あらかじめ決めた時間に相談者がカウンセラーに電話をかけていただき、電話による心理カウンセリングを行います。他人と直接対面することに抵抗がある方には最も適した方法です。ただし、相談者の表情や仕草などを見ることができないため、カウンセリング効果があらわれづらいというデメリットもあります。
その他、相談者のご要望に必要に応じて、ZOOMやSkypeなどを利用した心理カウンセリングを行うことも可能です。
- 来談者中心療法
- 来談者中心療法とはアメリカの臨床心理学者カール・ロジャースによって創始された心理療法で、パーソンセンタード・アプローチとも呼ばれています。これまでは心理カウンセラーが相談者に指示や助言をするといった心理療法が行われてきました。ところが、カール・ロジャーズは、人間には自分の力で悩みや問題を解決させていく力があることを見いだし、心理カウンセラーが指示や助言を与えて問題の解決をしていくには不十分であると考えました。つまり、問題を解決していくのは、相談者自身であるということです。相談者が自己成長をしながら問題解決を行っていくための支援を、専門的訓練を受けた心理カウンセラーが行っていくのが来談者中心療法です。
なお、当サービスの心理カウンセリングは来談者中心療法を基本として行っております。
▼ その他、心理カウンセリングは相談内容に応じて以下の心理療法も取り入れて行っています ▼
- エゴグラムによる性格診断
- エゴグラムとはエリック・バーンが提唱した交流分析という心理療法で使われる性格分析の手法で、現在の心の中にある自我状態がある程度わかります。自我状態には大きくわけてP(親の心)、A(大人の心)、C(子どもの心)の3つ分類されていて、さらにPにはCP(批判的な親)とNP(養育的な親)、CにはFC(自由な子ども)、AC(順応した子ども)に分類されて診断されます。エゴグラムによる性格診断を行うことで、どの自我状態がどの程度活性化しているか判断することができ、それぞれの高さや低さなどからよりバランスのとれた自分への変容をはかることができます。たとえば、A(大人の心)は現実を客観視するためにあらゆる角度から情報収集を行い、論理的検討を重ねて決断するという特徴がありますが、あまり高すぎると打算的で冷たく、人間味に欠けているように見られます。しかし、Aがあまりにも低い人は何かを行動する前に考えてみる、わからないことは徹底的に解明するようにしていくといった行動をしていくことで、Aを高めていくことができます。エゴグラムにおいては、それぞれの自我状態が高ければいいというわけではありません。エゴグラムによる性格診断については相談者の要望があれば、実施することは可能です。
- 認知行動療法
- 認知行動療法とは相談者が抱える問題を具体化して、その出来事に対する認知(考え方・捉え方)や行動を少しずつ変えていきながら問題解決をしていく心理療法です。人はこれまで経験してきたことから、何かの出来事が起こった時、瞬時に考えやイメージが浮かびあがります。これを自動思考といいます。たとえば、お子さんの不登校問題を抱えている母親が「私は子育てに失敗してしまった」と考えている場合、子育てに失敗したというは否定的な自動思考であると考えられます。認知行動療法では、こういった否定的な自動思考を少しずつ変えて認知を修正していくことで、問題解決をはかります。
- ブリーフセラピー
- ブリーフセラピーとは短期療法とも呼ばれており、相談者が抱えている問題の原因を追及するのではなく、問題を解決させるにはどうすればよいのか、どのようになっていればよいのかということに焦点をあて、それを実現させていくための具体的な目標を立てて実行していくという心理療法です。
また、ブリーフセラピーでは問題解決に向けて行動しているにもかかわらず成果が表れず悪循環が続いている場合、その解決行動自体が問題を維持させてしまっている可能性があると考えます。そのような悪循環を断ち切るために、その解決行動を止めたり、全く反対の行動をしてみるといった方法をとります。その際、相談者の解決行動を支えている信念を変える必要があります。たとえば、「毎朝、母親が子どもを起こすので、自分で起きることができない」という悪循環が続いてるとします。この場合、母親が「子どもを起こさなければいけない」という解決行動を支える信念から「子どもを起こしに行く」という解決行動をしていると考えられます。この悪循環を断ち切るために、母親が「子どもは自分の力で起きることができる」という信念に変えて「子どもを起こさない」あるいは「子どもが母親を起こしに来るまで寝ている」などといった、これまでと違った解決行動をすることで、問題解決をはかります。
- 家族療法
- 家族療法とは家族を対象にした心理療法ですが、その方法はさまざまです。家族療法での基本的な考え方は、相談者の抱えている問題に対して、個人的な問題とは考えず、家族との関係の中で起こっている問題と捉えます。家族を一つの人間集団(集合体)と見ることを家族システムと言いますが、家族の一人が問題を抱えている場合、家族システムに問題が発生していると考えます。
たとえば、子どもが不登校になっているのは母親が子どもに対して無関心であることが原因であるといった単純な捉え方をするのではなく、その背景には父親と母親のコミュニケーション不足という夫婦の問題が潜んでいる可能性があります。その場合、子どもの不登校は母親とコミュニケーションを取らない父親が家族システムの中で上手く機能していないことから、母親が子どもに無関心になっているという状況が発生していると捉えることができます。
家族療法では、そういった家族システムの問題に対して原因探しや悪者探しなどは行わず、現在や未来に向けた改善策に取り組んでいきます。つまり、家族システム問題が家族システム解決に変容させることにより、一人であった相談者の問題解決をはかります。
- アサーション・トレーニング
- アサーション・トレーニングとは主張訓練法という、自分の気持ちや考えなどを相手に伝えて、受けとめてもらいやすいようなアサーティブ(主張的)な表現を使えるようにするトレーニングです。人は表現したいことを表現する権利をもっているということを自覚して、相談者が問題としている対人関係との出来事や行動、態度などを見つめ直して、具体的にどのように対応すればアサーティブになるのかを考えていきます。
- コーチング
- コーチングとは、カウンセラーがあらゆる視点から質問していき、相談者自身が自分自身の中から気づきを得ていくことで自己成長を促し、問題解決に向かっていくための目標を立てて自発的に行動していけるようにサポートしていきます。
最近ではコーチンチングによるカウンセリングが取り入れられることが多く、実現に向けた目標を達成させたいという相談者や、実現方法にむけた今後の方向性が見えないという場合に用いられる手法でもあります。
心理カウンセリングの流れ
- お申込みと心理カウンセリング開始の日程調整
- まずは心理カウンセリングのお申込みフォームにてお申込みください。後日、担当者から相談者の方へお電話をさせていただき、カウンセリング開始の日時を決めさせていただきます。
- 心理カウンセリングに関するご説明と心理カウンセリングを開始します
- 心理カウンセリング当日、カウンセラーが電話もしくは直接ご自宅へ訪問させていただきます。そして、相談者の方(心理カウンセリングを行う相談者がお子さんだった場合は保護者の方も含めて)へ心理カウンセリングの詳しい内容のご説明をさせていただき、心理カウンセリングをはじめさせていただきます。
- 相談者の方への心のケアとラポールの形成
- カウンセラーが相談者の方の心のケアを行いながら信頼関係を構築(ラポールの形成)していきます。相談者がカウンセラーに心を開いて素直な気持ちを伝えることができるようになり、自由に感情表現を表せるようになるまでがこの段階です。
- 問題解決に向けた取り組み
- 相談者が抱えている問題に対して、どのようになっていればそれが解決したことになるのかという未来の姿に焦点をあてながら話し合っていきます。この段階でカウンセラーの判断によって心理療法を用いることもあります。そして問題解決に向けての実現方法を一緒に考えていきます。
- 解決方法の実現に向けての行動支援
- 問題解決に向けた実現方法を具体化していき、実現させていくための目標を立てていきます。目標はいきなり困難なことではなく誰でもはじめていけるような小さな目標を立てていきます。そして、相談者が目標に向けての行動をはじめていきながら、カウンセラーはその行動に対する支援を行っていきます。あまりにも目標が高くてなかなかうまくいかない場合は、その目標設定の見直しを行い、相談者が途中で実現行動を諦めたりすることのないように期限を決めて一つ一つ小さな目標を達成させていきながら、症状の消失、問題解決までの支援を行っていきます。
心理カウンセリングの効果
心理カウンセリングの効果は人によってさまざまです。もちろんカウンセラーとの信頼関係が構築されないと心理カウンセリングは継続されず効果も表れません。そのため、カウンセラーとの相性問題も発生します。相談者とカウンセラーがラポールの形成(信頼関係気づいてお互いに心を打ち明けられる関係になる)ができないようであれば、心理カウンセリングを続けるのは困難といえます。
心理カウンセリングの効果が表れやすい人は相談者が問題意識を持っていて、カウンセラーを信頼して素直に感情を表し、心理カウンセリングを受けて問題解決に取り組んでいこうという姿勢であるというのが特徴です。
逆に「心理カウンセリングなんて、どうせ効果がないんじゃないの」と疑っていたり、そもそも相談者に問題意識がなく、カウンセラーを信用しないで、自分の感情を表さない人は心理カウンセリングの効果が表れにくくなります。
心理カウンセリングはカウンセラーと相談者がラポールの形成を行うことで、相談者が本音を話せるようになっていきます。もちろん人によっては、そういった関係性を築けるまでに時間がかかってしまう可能性もあります。初回の心理カウンセリングで効果が実感ができなかったとしても、継続していくことが重要になります。
※ 守秘義務の厳守
カウンセラーは相談者から聴き取った内容や感情など、全ての情報を秘密にしておかなければなりません。カウンセラーがお子さんから聴いた内容について、たとえ保護者の方であっても口外することはできないということです。もちろん、保護者の方に聴いた内容をお子さんに話すようなことはありません。保護者の方の中には「うちの子、何か言っていましたか?」などとカウンセラーに質問するケースもありますが、守秘義務の厳守によりお答えすることはありません。なぜなら、お子さんはカウンセラーを信頼した上で打ち明けているわけですから、それを保護者の方に口外すると信頼関係が崩壊してしまうからです。但し、相談者が命の危険に晒されている場合、法律違反に関する問題である場合、反社会勢力に関わる問題などの場合は守秘義務の厳守に該当せず、保護者の方や警察などに通報することがあります。